ファラオハウンドとは
ファラオハウンドは、チズムの血を強く引き、アヌビス神によく似た姿をしている。凛とした顔つきで、琥珀色の瞳の小さな目を持つ。
サイトハウンドのため、マズル・首・脚・胴・尾が長い。耳は大きなろうそく耳(ろうそくの炎のような耳形)で、尾は先細りのサーベル形の垂れ尾。体は筋肉質で引き締まっていて、身体能力が高い。
コートはスムースコートで、毛色はレッド系の単色や、それにホワイトのパッチが入ったものなど。
尾の先が白いもの(ホワイトマーキングス/ホワイトチップ)は非常に好ましい。
暑さには強いが、もともと温暖な気候の国の生まれであるため寒さに弱い。
体高は牡56〜63.5cm、牝53〜61cmで体重は牡牝共に18〜25kgの中型犬。性格は外見とは異なり人懐こく、温和で従順である。
初対面の人や犬に対しては警戒心を持つが、自分や家族に危害を与えることが無いと判断すると仲良く接してくる。
子供にも寛容で、しつけの飲み込みや状況判断力も良いが、自立心旺盛なため根気よく教える必要がある。
もとがウサギ猟犬であるため、小型獣を見ると狩猟本能に狩られるので見せないようにすべきである。運動量は非常に多いが、家庭犬として飼育するのによく適した犬種である。水に濡れても、犬独特のにおいを発しない。

スタンダード

■原産地
マルタ共和国
■後援国
イギリス
■用途
警戒心に富んだ鋭敏な猟犬で、嗅覚と視覚を使って狩猟する。獲物に近づくとき、耳を最大限に利用する。
■FCI分類
グループ5 スピッツ&プリミティブタイプ / セクション6 プリミティブタイプ
■沿革
紀元前3000年頃の古代エジプトでガゼルの狩猟犬として活躍していて、フェニキア商人によってエジプトからマルタ島に連れて来られたと言われている。マルタ島では兎狩りに使われ、猟性能に最も優れた犬だけが繁殖に携わってきて、1979年にはマルタ共和国の国犬に指定された。1930年代にイギリスに渡り、世界の犬界に知られるようになったが、ショーにデビューしたのは1963年であった。
■一般外貌
すっきりとした輪郭で、高貴なふるまいの中型犬。優雅ではあるが、力強さを感じる。たいへん敏捷で、自由で軽快な動きをし、注意深い表情をしている。
■習性 / 性格
機敏で、利口で、友好的、愛情深く、遊び好き。
■頭部
マズルはスカルよりやや長い。スカルとマズルのトップラインは平行で、側望および上望した時、頭部はくさび型をしている。
◆頭蓋部
スカル
長く、細く、繊細な輪郭が明瞭である。
ストップ
ほんのわずかに認められる。
◆顔部
鼻
被毛と調和した肉食のみ。
マズル
目の下はよく盛り上がっている。
顎 / 歯
歯は強く、シザーズバイトでしっかりとした顎に垂直に生えている。
目
被毛と調和したアンバー(琥珀色)。オーバル(卵形)で、適度に奥まって付いており、鋭敏で利口そうな表情。
耳
中位の高さに位置し、警戒時は直立するが、よく動く。付け根は広く、立派で大きな耳である。
■頸
長く、細く引き締まって、筋肉が発達し、ややアーチしている。喉の線がすっきりしている。
■ボディ
しなやかでトップラインはほぼ真っすぐである。体長は体高よりやや長い。
◆臀部
尻から尾の付け根にかけてやや傾斜している。
◆胸
深く、肘まで下がっている。肋骨はよく張っている。
◆腹
適度に巻き上がっている。
■尾
尾付は中位の高さで、根元はかなり太く、先が細くなっている(鞭状)。静止時はホックまで伸び、活動時は高く持ち上げ、カーブしている。
尾は脚の間にはさんではならない。スクリューテイルは好ましくない。
■四肢
◆前肢
前脚は真っ直ぐで平行。
肩
強く、長く、よくレイバックしている。
肘
ボディにぴったりと接している。
中手
強い
◆後肢
強く、筋肉が発達している。後望した時、平行である。
膝
適度に曲がっている。
下腿
よく発達している。
足
強く、かなり隆起して緊握している。内向も外向もしていない。パッドはたいへん弾力がある。デュークローは切除してもよい。
■歩様
自由で流れるよう。頭はかなり高い位置に保ち、より少ないエネルギーで効率よく進む、グランドカバリングに富む歩様である。脚と足はボディと調和して動かなければならない。足を横に跳ねたりハイステップな『ハックニー』歩様は非常に好ましくない。
■被毛
◆毛
短く、光沢がある。きめ細かいものからやや粗いものまである。飾り毛はない。
◆毛色
タンまたはリッチタン。下記の場所にある白い斑は認められる。尾の先が白いのは大変好ましい。胸にある白い斑(スターと呼ばれる)、指趾の白い部分、顔の中央の細いブレーズは許容される。上記以外の斑点、または白い部分は好ましくない。
■サイズ
理想体高
牡:56cm (56~63.5cm)
牝:53cm (53~56cm)
■欠点
上記の点からのいかなる逸脱も欠点とみなされ、その欠点の重大さは逸脱の程度に比例するものとする。
■失格
陰睾丸